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1−2 『理性と本能の主張』


 果たして、

 ・「本能は悪であり、理性が善であるのでしょうか?」(善悪論)

 ・「本能と理性は相容れないものでしょうか?」(二元論)


 このことを真剣に〈本能〉と〈理性〉に語ってもらいたいと思います。

 結論から先に言ってしまえば、善悪は理性の創り上げた価値観であり、

本能には価値観は存在しないのです。ですから、本能を悪者にするのは

理性による一方的な弾劾なのであります。自ら善であると主張する理性

が、本能を悪として裁く根拠は、理性の掲げる価値基準そのものにある

のです。


本能は決して悪ではありません。また、本質的な理性は善でも悪でも

ありません。先にも言いましたが、善悪を生み出したのは本能自体では

なく、理性であるという事実を知ることで、本来の人間の姿を知ること

ができます。


そこでこの結論を証明する為に、理性の素性とその言行、本能の成り

立ちとその働きや使命等を、両者に素直に語ってもらいたいと思います。

以下、両者、〈理性〉と〈本能〉の対話で、その主張と弁明を聞いて

いきたいと思います。


両者の基本的主張は次の通りです。

「理性の基本的主張」

 ・「本能は、感情(怒りや憎しみ)と限りない欲望(性欲と所有欲、

  権力欲等)の根源である。それが人間を悪へと走らせる因となる」

 ・「理性は、それらの感情や欲望を抑制する働きを持っている(反省

  的思惟)」

 ・「理性は論理的思考を可能にさせ、数知れない素晴らしい科学的業

  績を生み出した」

 ・「故に、本能は悪なのであり、理性が善となるのである」


「本能の基本的主張」

 ・「本能は、生きるための欲求であり、それは悪ではなくて、自然の

  計らいそのものである」

 ・「本能には種の存続という大目的があり、その目的に反するような

  同種間の殺人行為は完全に矛盾するものであり、悪とされるのは事

  実無根である」

 ・「本能の発する感情や欲望には、一定の歯止めが働いており、際限

  のないものではない」

 ・「理性といえども、それは本能を土台にして築き上げられたもので

  あって、もし理性が善であるとするならば、本能もまた善である」


 更に両者は、この基本的主張を論拠に真実を目指す対話は続きます。

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