《三つの意識の働きの方向(→→→で示す)》
*記憶の方向性・・・顕在意識 →→→ 潜在意識 →→→ 深層意識
*行動の方向性・・・顕在意識 ←←← 潜在意識 ←←← 深層意識
ここで気付かれると思うのですが、意識と行動の方向性が逆を示
すことに注意してください。
意識は、記憶として潜在意識に移行し蓄積され、そして深層意識
へ向かいます。行動は、深層意識(本能・反射)が潜在意識(経験・
学習様式)を通して自律的に行動させます。
常に自分が思考し、行動していると思っているのが普通ですね。
ところが上記の行動の方向性はそれを否定しているのです。思考は
行動の選択と方向性を決定するだけのものなのです。
実は、われわれが自主的に行動していると思っているのは錯覚で
あって、すべては潜在意識や本能が行っているというのです。この
事実は何を物語るのでしょうか。
これを裏付ける事例を示します。
・「悲しいから泣ける」ではなく、「泣けるから悲しい」
・「怖いから身の毛がよだつ」ではなく「身の毛がよだつから怖い」
このように〈泣ける〉という反射行動が先に起こり、〈悲しい〉
という意識が後からそれを説明する、というのが人間の行動のメカ
ニズムなのです。何故そうなのかは、本能の行動原則に従っている
からです。
例えば、暗闇で何か動くものを感じた時、危険かどうかを察知す
るのが急務で、その為に五感をフルに働かせるのです。この際、意
識は後回しになり、考えることより五感を通して感じることに全エ
ネルギーが注がれるのです。そうでないと生命の危機に見舞われる
からです。
そして、それが危険なものとして感じられた場合は、すぐさま防
衛か逃避の行動をする為に反射的に臨戦態勢に入ります。その時の
身体変化が筋肉の硬直であり、多量の血液を送り出す為に心臓の脈
拍の増大が起こり、身の毛がよだつ等の反応も起こることになるの
です。
それらの反応を意識が後付けで、「恐ろしいものと出会った」と
感じ「逃げようか戦おうか」と判断を拱いているだけです。
意識が意思決定しても、それは後付の認識であって、当然のこと
ながら逃避も防衛も反射的に行われるもので、意識的な行動はあり
得ないものだといわれているのです。
理性:聞いていると、われわれの意識自体は大したものではないように
思えますね。理性という素晴らしい思考能力も潜在意識や本能に従
った二次的なものとしてあるのですか?
何だか、考えること自体が無意味になってきますね。
本能:そんなに落胆することはないですよ。
われわれ人間の行動メカニズムにしても、本能の機能にしても、
ありとあらゆる真理真実は、理性という論理思考が探究し、研究し
てきたお陰で解明されたのです。
本能だけでは、従来の動物と何ら変わることのない生き方で、文
化も歴史も、そして素晴らしい科学的成果も得られなかったでしょ
うから・・・。ただ、理性は自身の範疇を逸脱しない為に、本能を
よく理解し手を携えながら、理性自身のあり方をも反省し、より良
い価値観を見つけだし、自然や社会環境と共生し得る人間の生き方
を模索しなければならないと思います。
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